「お山に行くよー」の意味

かつて学会員は、「登山」と称して静岡県富士宮市にある大石寺というでっかい施設に通っていた。

名称はよくわからんが、巨大なホールのような所でお題目をして帰るというものだった。

我が家では親から「今度の日曜、お山に行くよー」と言われるとガッカリしたものである。

子供にとっては、何一つ楽しいことなど無いのだから。

強いて言えば敷地内にある土産物屋でおもちゃが買ってもらえたくらいだろうか?

実際、自分より幼い弟は毎回行くのを嫌がっていたがおもちゃに釣られて渋々行ってたようなものだ。

記憶が曖昧なのだが、入場にはチケット的なものがあったように覚えている。

あれは有料だったのか無料だったのか、実際のところは知らない。

とにかく、定期的に訪れるこのイベントは自分も好きではなかった。

 

登山と呼ばれるのは、お題目するホールまで延々と徒歩で登っていくことかららしい。

駐車場に車を停めたら、そこから30分くらい(だったと思う)歩くのである。

道中は土産物屋が立ち並び、食事が出来るところもあった。

学会が破門になった後は、客足が途絶えたであろうことは想像に難くない。

 

散々歩いた後は、子供にとっては非常につまらない時間が待っている。

ホールに入るまではやたらと並ぶし、そして中の座席は冷たくて固かった。

だから冬の寒い時期は苦痛の度合いが半端なかった。

ホールの真ん中に巨大な仏壇があり、その前で偉い人?がお題目を唱える。

それに合わせてホールにいる参拝者も大声で唱える。

これは子供心にも異様な光景であった。

自分ら兄弟はお題目なんてやらずに前述の土産物屋で買ってもらったおもちゃで遊んだり、当時は最新ハードだったゲームボーイをプレイしたり。

しかしホール内は薄暗く、初代ゲームボーイはバックライトなんて気の利いた物は無かったのでまともに出来なかった。

 

その後、よく知られる学会の破門騒動により「お山」に行くことはなくなった。

その経緯については、少年部や中等部で散々聞かされた。

大石寺敷地内の桜の木が伐採された時には、青年部のお兄さん方に連れられてその現場を見に行ったりもした。

高校くらいから学会活動はフェードアウトしつつあったので、かなり後になって知ったが件のホールは取り壊されたという。

特徴的な形をした建物だったので、今でもその形は覚えている。

 

調べたところによると、今でも大石寺の敷地内は一部を除き散策が可能だという。

機会があれば、記憶との答え合わせをするべく散策に行ってみたいものだ。